制作:Tanaka 花材:日本水仙、スプレー菊
派手なはなではないのに、小さくても存在感を感じさせる日本水仙、とてもいい香りがします。
花粉症であることを忘れて、つい鼻をくっつけて香りを楽しみたくなるほど。
4枚の葉に守られるように、花が伸びてきます。
根元には、袴という1~2センチほどのつつ状の薄皮があります。
その袴を破れないように脱がせて(いけばなの世界ではこの作業を、まるで人みたいな表現をするのです。)いったん葉っぱ4枚と水仙の花をばらばらにして、葉のねじれを戻し、そして長さを整えて切り、また袴をはかせるのです。
きちきちの袴を再び履かせる時は、まるで太ってしまってスカートが入らない~、やぶれる~って、そんな感じを思い出してしまいますが、そ~っと丁寧に扱って、もとの一元の姿に戻します。
初めてその作業を覚えた時は、妙な感動を覚えたものでした。
日本水仙の三大群生地としは、房総半島、淡路島、福井県の越前海岸。
中でも越前海岸は、日本一の規模をほこるそうです。
水仙峡に行って、その香りに囲まれたいものです。
学名はNarcissus(ナルキッソス)
ギリシャ神話に登場するナルキッソスという美少年の名からきています。
湖に住む美しいニンフに恋をしてしまい、来る日も来る日もその姿を追い求めて、湖面を眺めます。手を伸ばすと、す~っと消えてしまうニンフ・・・ 実はそれは水面に映った自分の姿。
そう、その自分の姿に恋してしまっていたのです。下を向いて湖面を覗き込み続けるナルキッソス。実らぬ恋に、ナスキッソスはだんだんに衰えやがて死んでしまいます。 その亡骸の後には、1輪の水仙が花を咲かせていたと言う神話です。
それで水仙は下を向いて、花を咲かせているのです。花言葉は、自己愛。
自分の美貌に酔いしれる人をナルキストといい、ナルシズム(自己陶酔)の語源となっています。